米中貿易戦争は長期化の様相
日米貿易摩擦も再燃か?
アメリカによる米中貿易戦争の激化懸念、米加二国間協議の難航、そして新たにトランプ大統領が日米貿易協議を開始する、としたことから円高が進みました。
しかしアメリカ雇用統計を見る限り、アメリカの景気経済は絶好調!
終値も1ドル=111円台回復と、ドルは本当に底堅いですよね♪
先週のまとめ
先週のドル円は、上記通り中国、カナダに続き、日本とも貿易摩擦が激化するとの懸念から下落したものの、好調なアメリカ経済・堅調な労働市場、金利先高観からドル高基調は継続するなど、底堅く推移しています。
結局、週の終値もおよそ1ドル=111円06銭と、先週の終値111円12銭から、6銭程度のドル安円高となり、この週の取引を終えています。
ISM製造業景況指数
9月4日に発表されたアメリカ8月のISM製造業景況指数は、市場予想である57.7を大きく上回る61.3となり、およそ14年半ぶりの高水準となりました。
注目の雇用部分も58.5と、7月の56.5から上昇しており、労働市場の堅調さも確認できました。
各国との貿易戦争・貿易摩擦激化により、アメリカ経済の鈍化が懸念されましたが、ISM製造業景況指数を見る限り杞憂との認識が拡がり、ドル買い円売り(ドル高円安)が進みました。
アメリカ雇用統計
さらに7日に発表されたアメリカ8月の雇用統計では、
非農業部門雇用者数が市場予想前月比+19.1万人に対し、実績同+20.1万人
注目の平均時給も市場予想前年同月比+2.7%に対し、実績同+2.9%
と強い結果となったことから、年内あと2回(年合計4回)の利上げを後押しする材料となり、日米長期金利差拡大を意識したドル買い(ドル高)が進みました。
日米貿易協議再開
しかしその後、トランプ大統領が中国からの輸入品に対し、新たに2670億ドル相当の追加関税を課す考えを表明。
さらに対日貿易赤字削減のために、日本との貿易協議を開始する方針も示したことから、貿易戦争・貿易摩擦激化への警戒感が再燃し、リスク回避の円買い(円高)が進みました。
ドル円は、好調なアメリカ経済・堅調な労働市場によるドル買い(ドル高)と、貿易摩擦・貿易戦争激化への警戒感からのリスク回避の円買い(円高)がせめぎ合う形で推移し、結局111円05銭-06銭でこの週の取引を終えました。
ドル円の推移
先週のドル円推移は、110円37銭-38銭から111円75銭-76銭でした。
ちなみに先々週のは、110円68銭-69銭から111円82銭-83銭です。
さらにその前の週は、109円77銭-78銭から111円48銭-49銭です。
参考までにその前は、110円10銭-11銭から111円42銭-43銭です。
ひとつおまけに前週、110円50線-51銭から111円52銭-53銭です。
もうひとつおまけで、110円74銭-75銭から112円14銭-15銭です。
今週の予想
今週のドル円は、上記通り米中貿易戦争激化への警戒感や新興国通貨安への懸念は続くものの、好調なアメリカ経済・堅調な労働市場から年内あと2回(年合計4回)の追加利上げを意識(9月利上げは織り込み済みも、12月利上げは十分に織り込まれていない)した展開になると予測します。
結果ドルは底堅く推移する見込みなものの上値は重く、つまりはレンジ相場になる可能性が高いと見ます。
今週の重要な米国・日本のイベントは、
09月12日の米国:8月消費者物価コア指数(CPIコア)
09月13日の米国:8月小売売上高
などが予定されています。
注目はアメリカ8月消費者物価コア指数(CPIコア)でしょうか。
これ以降、25日まで重要な経済指標の発表がないことから、アメリカ連邦公開市場委員会(FOMC、25日-26日開催)での最終的な判断材料となり得ます。
市場予想では前回7月実績と変わらずの、前月比+0.2%、前年比+2.4%。
市場予想通りなら、9月の追加利上げを拒む理由はなくなります。
またアメリカGDPのおよそ2/3を占める8月小売売上高も注目です。
市場予想は前回7月実績と変わらずの、前月比+0.5%。
市場予想通りならば持続的な経済成長への高まりから、ドル買い(ドル高)基調継続となりそうです。
NAFTA再交渉
アメリカとカナダの北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉では、8月末までの何度目かの期限に間に合わず、5日から始まった交渉再開後も乳製品の合意で意見が合わず、一部では今月末までの合意達成への悲観論も出てきています。
合意が見込め無くなれば、米加はもちろん、米中貿易戦争激化、欧米・日米貿易摩擦への懸念がさらに高まり、世界経済の鈍化懸念も再燃され、リスク回避の円高が進む見込みです。
新興国通貨安懸念
一時期よりトルコリラや南アフリカランドなどの新興国通貨安(不安定さ)への懸念は後退したものの、解消には至っておらず、引き続き警戒が必要な状況です。
ドル高ユーロ高円高、そして新興国通貨安が進む可能性も考えられます。
アメリカ経済指標
しかし上記通り、8月ISM製造業景況指数や同月雇用統計などの経済指標は市場予想を上回る強さを見せており、今週の8月消費者物価指数や同月小売売上高などの経済指標も期待できます。
市場予想を上回ればもちろん、市場予想通りとなった場合には、年内あと2回(9月・12月、年合計4回)の追加利上げが意識されることになり、ドル買い(ドル高)が進む見込みです。
(9月利上げは織り込み済みも、12月利上げは十分に織り込まれていないため)
今週のレンジ予想
今週の予想レンジは、109円50銭から112円50銭までと予想します。
ちなみに先週は、110円00銭から113円00銭という予想でした。
FX(外国為替証拠金取引)の感想
最近は自国経済が好調なのに、政治が波乱要因となっているケースが多いですね。
アメリカも上記通り経済指標が立て続けに強い結果となり、ドル高が進むタイミングでトランプ大統領が各国に貿易摩擦を投げつけ、リスク回避のドル安を誘っています。
アメリカの大統領としては「自国有利な状況にする」のは通貨の高い安いも含めて当然ではあるのですけど…、他国からしてみたら堪ったものじゃーありませんね(笑
まあ中国だけは貿易黒字で儲けた金でアメリカ企業を買収。
知的財産も手っ取り早く買収する手法は規制されて当然と思いますが、さすがにこれって自国贔屓か…?
兎に角、トランプ大統領はアメリカ経済の好調さからくるドル高をなんとか下げようとしています。
結果、1ドル=111円の壁を割って110円台に突入したのですが…。
あっさり111円台を回復しています(笑
円高円高って言ってますけど、110円を割る悪材料ってどれくらいの悪材料?って言うくらい本当にドル円は底堅いで♪
でもやはり懸念材料は、7日にウォール・ストリート・ジャーナル紙が伝えた「トランプ大統領が貿易を巡って日本と争う可能性を示唆」という報道。
現実的に逆らうことは出来ないので、問題はどうかわしつつ、落としどころを探るかが焦点でしょうね。
ロシアやイラン、トルコなどのように真っ向から対立したら、それは経済の崩壊・破滅を意味します。
(厳密に言ったら崩壊しないけど、確実に、かつ急速に日本株は暴落するでしょうから、実際問題として崩壊と言っても差し支えないでしょう)
日本政府には何とか頑張って欲しいものです。
今後のドル円相場は、
短期:108円~114円程度のレンジ相場
長期:105円~115円程度のレンジ相場
と予想します。
110円を挟み±5円程度でしょうか。
みなさまの資産運用投資の手助け(参考)になれば幸いです♪