米中関係悪化懸念から株安ドル安金利安へ(涙
せっかく12月1日に行われたトランプ・アメリカ大統領と習近平・中国国家主席との米中首脳会談で、米中貿易戦争は一時休戦となり、良い雰囲気だったのに、場外乱闘から再び激化懸念が再燃してしまいました。
と言っても、この1週間の値幅も1円61銭程度。
いつもよりも値が動いていません。
相変わらずのレンジ相場が続いています(笑
まあ、為替差益を狙っても良し、長期保有でスワップポイントを狙っても良しでアメリカドルもすっかり高金利通貨の仲間入りですよ♪
12月第1週のまとめ
先週は、米中関係悪化・米中貿易戦争継続への懸念が再燃し、中国株価・アメリカ株価を始め、世界的な同時株安となったことから、リスク回避的なドル売り円買い(ドル安円高)が進みました。
結局ドル円では、週の終値はおよそ1ドル=112円67銭と、先週の終値113円54銭から87銭程度のドル安円高となり、この週の取引を終えています。
米中関係悪化懸念再燃
先の20カ国と地域による首脳会議(G20)での米中首脳会談の結果、アメリカ側は2019年1月から課すとしていた中国製品に対する輸入関税の引き上げを一時的に見送る(ただし猶予は90日間)ことを決定。
市場は米中関係の改善・米中貿易戦争の一時休戦と受け止めて、リスクオン(リスクを取ってでもリターンを得る)状態のドル買い円売り(ドル高円安)が進みました。
しかし今後の米中貿易協議には、アメリカ側の責任者として対中強硬派として知られているライトハイザー通商代表部(USTR)代表が就くことが決定したことから、米中間の貿易協議は難航するとの思惑が浮上。
さらにその後、アメリカ当局の要請によりカナダで中国の通信機器大手「華為技術(ファーウェイ)」の孟晩舟・最高財務責任者(CFO)が拘束されたことが発表されると、米中関係悪化懸念が再燃し、中国株価・アメリカ株価は大きく下落。
リスク回避姿勢が強まり、ドル売り円買い(ドル安円高)に拍車がかかりました。
アメリカ雇用統計
7日に発表されたアメリカ11月の雇用統計では、
失業率
市場予想:3.7%
11月実績:3.7%
非農業部門雇用者数(前月比)
市場予想:+20.0万人
11月実績:+15.5万人
(10月実績は+25.0万人から+23.7万人に下降修正)
平均時給(前年同月比)
市場予想:+3.2%
11月実績:+3.2%
と、失業率・平均時給は市場予想通りとなったものの、非農業部門雇用者数が市場予想を大きく下回ったことから、2019年の追加利上げに対する減速懸念(※)が高まったほか、米国株価の大幅安から、リスク回避のドル売り円買い(ドル安円高)が進みました。
その後発表された12月のミシガン大学消費者信頼感が97.5と市場予想の97.0を上回ったことからドル売りは(多少)後退したものの、結局ドル円は112円66銭-67銭でこの週の取引を終えています。
(※)
結果、日米金利差が思いのほか広がらない(ドル高円安が進まない)という懸念。
ドル円の推移
先週のドル円推移は、112円23銭-24銭から113円84銭-85銭でした。
ちなみに先々週のは、112円87銭-88銭から114円3銭-04銭です。
さらにその前の週は、112円30銭-31銭から113円21銭-22銭です。
参考までにその前は、112円63銭-64銭から114円20銭-21銭です。
ひとつおまけに前週、112円94銭-95銭から114円08銭-09銭です。
もうひとつおまけで、111円77銭-78銭から113円38銭-39銭です。
12月第2週の予想
12日発表のアメリカ11月消費者物価指数が市場予想通り、もしくは上回れば、12月の追加利上げや2019年の利上げ回数への期待が高まりドル買い(ドル高)が進みそうです。
しかし現状、投資家心理は冷え込んでおり、アメリカの経済指標が悪かった場合など、それを理由にリスク回避のドル売り円買い(ドル高円安)が進む可能性があります。
また、米中関係に関する政治的・司法的な結果(報道)も為替に大きく影響を与えそうです。
しかし現状のアメリカ経済は、思惑は別として好調を維持しており、つまりは今週もレンジ相場となる見通しです(笑
今週の重要な米国・日本のイベントは、
12月12日の米国:11月 消費者物価指数(CPI)
12月14日の米国;11月 小売売上高
などが予定されています。
今週の注目は…、やはり11月消費者物価指数(CPI)でしょう!
消費者物価指数(前年同月比)
10月実績:+2.5%
市場予想:+2.2%
消費者物価コア指数(前年同月比)
10月実績:+2.1%
市場予想:+2.2%
との市場予想となっています。
市場予想通りや上回れば問題なし!
大きく下回るようだと、12月の追加利上げは兎も角、2019年以降の利上げペースに影響を与えそうです。
アメリカと中国の対立
ただやはり、米中関係の悪化・米中貿易戦争の長期化に対する懸念が再び高まっています。
5日カナダの司法当局は、アメリカ当局の要請によりカナダ国内で中国の通信機器大手「華為技術(ファーウェイ)」の孟晩舟・最高財務責任者(CFO)を逮捕・拘束しました。
アメリカによる対イラン制裁違反容疑です。
中国政府、華為技術(ファーウェイ)側も、この逮捕は不当であり不正行為はしておらず、CFOも一切関与していない、としています。
この件が引き金となり、より一層米中間の対立が先鋭化すれば、リスク回避の円買い(円高)が進む可能性があります。
イギリスのEU離脱問題
その他の懸念事項として11日に予定されている、イギリスの欧州連合(EU)からの離脱草案の是非を巡る議会採決が挙げられます。
EU側からも認められた政府案に対し否決された場合イギリス政局の不透明感が高まり、またイギリスの強硬離脱・合意なき離脱への懸念が高まり、ポンド売りユーロ売り(ポンド安ユーロ安)が大きく進むことが予想されます。
(ただし、欧州通貨安ドル高円高が進むため、ドル円に対しては直接影響がないとの見方も…)
しかし、欧州株安からの連れ安も予想されるため、リスク回避姿勢の高まりによる、円高が進みそうです。
今週のレンジ予想
今週の予想レンジは、111円00銭から114円00銭までと予想します。
ちなみに先週は、112円00銭から115円00銭という予想でした。
FX(外国為替証拠金取引)の感想
注目のアメリカ雇用統計は上記の結果通り、非農業部門雇用者数は市場予想を下回りましたが、失業率は歴史的な低水準を維持しており、平均時給も前年比+3.1%と高い伸び率を示しています。
このアメリカの“ほぼ”完全雇用状態の中、+15万人以上は十分な数値であり、市場予想+20万人とは高望みしすぎなんですが、市場は目先の数値に踊らされすぎです。
イエレン前アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)議長の時代は「+15万人でも十分な雇用者数だ」と言っていたのですけどね。
低失業率・高い賃金の伸びが続き、堅調な雇用市場が続いている以上、アメリカ経済に大きな心配はしていません。
実際、株安金利安からのリスク回避と言われていますが、ドル円は110円を割るどころか112円も割っていませんからね。
アメリカの景気鈍化は今が良すぎるのであるかもしれませんが、景気後退は少なくとも2020年以降でしょう(笑
株安ドル安金利安からのリスク回避と言われていますが #米ドル /円は110円を割るどころか112円も割っていません
市場はドル高円高他通貨安、正しくはドルちょこっと高円高他通貨安でしょう😅
アメリカの景気鈍化は今が良すぎるのであるかもしれませんが、景気後退は少なくとも2020年以降でしょう😊 pic.twitter.com/MXK3qC6hZY
— サトウカズオ@資産運用で不労所得 (@sato_kazu0) 2018年12月9日
どちらかというと冒頭通り、米中関係の悪化の方が心配ですね。
ただこの中国の通信機器大手「華為技術(ファーウェイ)」のCFOの逮捕、トランプ大統領の指示ではなく、普通にアメリカ司法当局からの要請です。
むしろ「トランプ大統領は事前に知らされていなかった」との一部報道さえあります。
今まで言われていた、アメリカのイラン制裁に違反した疑いでの逮捕です。
(しかも疑惑を報告したのがイギリスHSBC(※)、逮捕を要請したのがアメリカ、その要請に従って逮捕したのがカナダの3カ国共同作業)
これは…黒っぽいですね(笑
中国側は激しく反発していますが、証拠を突き付けられた場合、どう反応するのでしょう。
司法と政治・外交、貿易は切り離して考えて欲しいものです。
(※)
イギリスに本社を置く、世界最大級のメガバンク。
ただ先日、石油輸出国機構(OPEC)と非OPEC加盟国は、原油の減産に対し合意に達しました。
さらに先日の米中首脳会談での関税引き上げに対する90日間の猶予についても中国側は「アメリカの理解が得られるよう努力する」と公式に発表しています。
悲観的過ぎやしませんかね?
と、今週もやっぱりレンジ相場と予想します(笑
(どこにでもある1ドル円為替見通しブログの1素人管理人の意見ですからね!)
(個人的にはアメリカ株価は本当に頑張れー(笑)
今後のドル円相場は、
短期:108円~115円程度のレンジ相場
長期:105円~115円程度のレンジ相場
と予想します。
110円を挟み±5円程度でしょうか。
みなさまの資産運用投資の手助け(参考)になれば幸いです♪