イギリスは欧州連合(EU)からの合意なき離脱を選択か?
先週は、アメリカ消費者物価指数(CPI≒インフレ率)も市場予想通りと日米側では良材料も悪材料もなく時が過ぎていきましたが、波乱は反対側からやってきました。
イタリアの債務・財政問題、イギリスの欧州連合(EU)離脱の行方など、週末に向けてリスク回避姿勢が進んでいきました。
と、言っても終値は1ドル=112円82銭。
ぜんぜんドル高円安ですけどね(笑
この1週間の値幅も1円57銭程度。
相変わらずのレンジ相場が続いています。
為替差益を狙っても良し、長期保有でスワップポイントを狙っても良しでアメリカドルもすっかり高金利通貨の仲間入りですよ♪
11月第3週のまとめ
先週は、イギリスの欧州連合(EU)からの離脱に関し閣議決定はされたものの、イギリス議会での承認は難しい状況となったことから、合意なき離脱が現実味を帯びてきたとの思惑により、ユーロ安ポンド安ドル高が進みました。
さらに世界経済の鈍化懸念も再燃し、アメリカの経済成長も鈍化するのではないかとの憶測により、リスク回避のドル売り円買い(ドル安円高)が進みました。
(つまりどちらも円高要因となった)
結局、週の終値もおよそ1ドル=112円82銭と、先週の終値114円09銭から、1円27銭程度のドル安円高となり、この週の取引を終えています。
イギリスの欧州連合離脱(EU)問題
上記通り、イギリスが欧州連合(EU)からの離脱に関する議会承認を得ることは難しい状況となっています。
さらにメイ首相に対する与党保守党の党首としての不信任案提出を求める署名集めが公然化するなど、イギリスの合意なき離脱や、イギリス政局の流動化が懸念されており、ポンド・ユーロ売り(ポンド安ユーロ安)、結果ドル高の原因となっています。
クラリダFRB副議長発言
またアメリカ連邦準備制度理事会(FRB)のクラリダ副議長が「世界的な減速を示唆する証拠はある」と発言。
さらにダラス地区連銀のカプラン総裁も「欧州と中国で経済成長の減速傾向が見られる」「世界経済の成長がやや向かい風を受け、アメリカにも波及するかもしれない」との見解を示したことから、世界経済の鈍化、ひいてはアメリカ経済の鈍化懸念からアメリカの長期金利は低下。
結果、リスク回避的なドル売り(ドル安)が進みました。
米中貿易戦争緩和期待
しかしその後、アメリカ・トランプ大統領が「中国と貿易合意できるだろう」「中国製品に対しさらなる関税は不要かもしれない」と中国製品に対する追加制裁関税を課さない可能性を示唆したことから、リスク回避的なドル売り(ドル安)は後退。
VIX指数(恐怖指数)も低下し、ニューヨークダウ平均も上昇に転じたことから、ドルの買い戻し(ドル高)も見受けられ、結局113円81銭-82銭でこの週の取引を終えました。
ドル円の推移
先週のドル円推移は、112円63銭-64銭から114円20銭-21銭でした。
ちなみに先々週のは、112円94銭-95銭から114円08銭-09銭です。
さらにその前の週は、111円77銭-78銭から113円38銭-39銭です。
参考までにその前は、111円37銭-38銭から112円88銭-89銭です。
ひとつおまけに前週、111円62銭-63銭から112円72銭-73銭です。
もうひとつおまけで、111円82銭-83銭から113円93銭-94銭です。
11月第4週の予想
上記通り、イギリスの欧州連合(EU)からの離脱問題、イタリアの債務・財政問題による欧州のリスク要因が続くことから、上値の重い展開が予想されます。
(ユーロ安ポンド安要因であり、対ドルではドル高になる)
(しかし同時にリスク回避姿勢継続からドル安円高要因ともなる)
ただアメリカ連邦準備制度理事会(FRB)高官は利上げを支持しており、引き続き利上げ姿勢継続を意識したドル買い(ドル高)は続くことが予想されます。
つまりは今週もレンジ相場となる見通しです(笑
今週の重要な米国・日本のイベントは、
11月20日の米国:10月 住宅着工件数
11月22日の日本:10月 全国消費者物価指数(CPI)
などが予定されています。
今週の注目は…、重要経済指標の発表は無いですね(汗
そのため今週は、政府高官の発言や、政治的経過(イギリスの欧州連合離脱問題や米中貿易戦争のゆくヘ)などに左右される週となりそうです。
欧州のリスク要因
イタリアの債務・財政問題は、イタリア政府と欧州連合(EU)との対立にまで発展しています。
イタリア政府の2019年予算は、財政規律の面で欧州連合(EU)の方針に反しており、対立は激化しています。
イタリア政府が予算案の変更を受け入れるかどうかは不透明であり、市場関係者の間ではユーロの上値は重いままとの認識が多いようです。
上記通りイギリスでは、欧州連合(EU)からの離脱に関する協定案は閣議決定されたものの、イギリス議会の承認は難しい状況となっています。
またメイ首相率いる与党保守党内ではメイ首相(党首)の不信任案提出を求める署名集めの動きも出ており、イギリス政局の不透明化を嫌ったポンド売り(ポンド安)は継続する見込みです。
つまりユーロ安ポンド安により、対ドルではドルは上昇するものの、イタリアの債務・財政問題やイギリスの欧州連合(EU)からの離脱問題はリスク要因であり、対円ではリスク回避のドル安円高が進む見込みです。
アメリカは利上げ姿勢継続
パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は先日行なわれた講演で「アメリカ経済は非常に強い」「中立金利(景気を刺激も抑制もしない適正な金利)まで長い道のりがある」との認識を示し、今後も利上げを継続していく方針を示しました。
しかし16日、クラリダFRB副議長は「アメリカの金利はFRBが中立金利と見なす水準に近づいている」との考えを示したことにより、アメリカの利上げペースは鈍化するのではないかとの思惑が広がっています。
市場関係者の間では、12月の追加利上げは確定的なものの、来年2019年のFRBが示す年3回の追加利上げは流動的と見られており、アメリカの金利先高観は後退し、ドルの上値は重くなることが予想されます。
今週のレンジ予想
今週の予想レンジは、111円50銭から114円00銭までと予想します。
ちなみに先週は、112円00銭から115円00銭という予想でした。
FX(外国為替証拠金取引)の感想
中期的に(長期的にはもっと)ドル高基調が続くと思っていましたが、クラリダFRB副議長やダラス地区連銀のカプラン総裁がハト派的な発言をしたことからドル売りが進みました。
特にクラリダFRB副議長は、中立的な水準は2.5%から3.5%と言っています。
現在アメリカの政策金利は2.25%ですから、
2.5%だとあと1回の利上げ
(今年12月で終わり)
3.5%だとあと5回の利上げ
(今年12月と来年2-3回、2020年は1-2回で終わり)
となります。
ちなみにシカゴ地区連銀のエバンズ総裁は、3.25%近辺までは引き上げるべきとの認識を示しています。
(あと4回の利上げとなり、今年12月と来年2-3回、2020年は0-1回で終わり)
この考えでいうと、来年2019年いっぱいまではアメリカの経済成長は続く。
2020年ごろから経済の鈍化傾向が始まりだすというサトウカズオの考えと一致します。
(来年いっぱいはアメリカの株高展開は続くと思っています)
(あくまでもアメリカ経済の鈍化傾向だよ、後退(リセッション=景気後退)じゃないよ)
ただ…、日本はずーっと経済の鈍化が続いているので、一時的にはリスク回避のドル安円高が進むかもしれませんが、中長期的に見れば、やっぱり日米金利差は拡大する一方なのでドル高円安は続くと思っています。
まあ、ドル安円高が…、と言っても週の終値は1ドル=112円82銭。
ぜんぜんドル高円安ですけどね(笑
以上を踏まえ今週も、好調なアメリカ経済・堅調な労働市場、結果利上げ姿勢継続からの日米金利差拡大への思惑からのドル高円安。
しかし、リスク回避姿勢・株安展開継続からのドル安円高。
と、今週もやっぱりレンジ相場と予想します(笑
(どこにでもある1ドル円為替見通しブログの1素人管理人の意見ですからね!)
今後のドル円相場は、
短期:108円~115円程度のレンジ相場
長期:105円~115円程度のレンジ相場
と予想します。
110円を挟み±5円程度でしょうか。
みなさまの資産運用投資の手助け(参考)になれば幸いです♪